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【募集】劇薬小説

 最悪の読後感を味わわせてくれる、劇薬小説を募集します。

 サイアクの読後感といっても、人によりけり。あまりのXXX描写に、読みながら吐いたのもそうだし、予想外の鬱展開に「読まなきゃよかった」と激しく後悔するのもあり。もう大人なのに、怖くてオシッコちびっちゃったなんて、サイコーですな。

 「トラウマになった」「しばらく何も手につかなくなった」「価値観が変わった」という形容詞が適当だが、ポイントは、「読まなければよかった」という後悔。

 知らなければよかった、トラウマになった、何も手につかなくなった、価値観が破壊されたといった、読んだという記憶ごと抹消したくなるようなものこそ、極上の劇薬小説といえる。

 そう、読書は毒書。あらゆる小説には、多かれ少なかれ「毒」を含んでる。だから、クスリのように効く人もいるし、微量でも猛毒にもなる人もいる。

 毒なのか薬なのか、要は量。小説に「癒し」だの「感動」だの「泣ける」なんて、くだらねぇ。そんなうんこは捨て置いて、猛毒を有している「これはきけん」という劇薬小説を、喰らおう。
 
 「はてな」にも質問を立てておいたので、そちらから回答するとポイントをお渡しすることができる。はてなidがない人は、コメント欄で教えてくださいませ。

 [はてな:劇薬小説を教えてください]

 ただし、読んだらハズレだった、は該当しないので御注意を。いわゆる「壁投げ本」のこと。あまりのくだらなさに「読んだことを後悔した小説」は、対象外とします。

 ちなみに、これまでの経緯は、劇薬小説を探せ【まとめ】をどうぞ。はてなでオススメいただいたものを読んで→フィードバックを繰り返してきた。現在の劇薬小説ランキングは、以下のとおり。ぬる臭いイマドキ小説に飽きたら、どうぞ。いい毒書になるだろうが、ジコセキニンで、どうぞ。

────────────────────────────────
劇薬小説ランキングベスト10
────────────────────────────────
  1. 狂鬼降臨(友成純一) 所収:「獣儀式」
  2. 骨餓身峠死人葛(野坂昭如)
  3. 児童性愛者(ヤコブ・ビリング)
  4. 隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)
  5. 城の中のイギリス人(マンディアルグ)
  6. 目玉の話(バタイユ)
  7. 暗い森の少女(ジョン・ソール)
  8. 問題外科(筒井康隆)
  9. きみとぼくの壊れた世界(西尾維新)
  10. ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)
以下、紹介とレビューへのリンクを掲げる。

■1 狂鬼降臨(友成純一) 所収:「獣儀式」

読む地獄。人間なんて、糞袋。エロくてグロくて血みどろで、腐肉とウジ虫たっぷりの、酸っぱい胃液と激しい勃起に悩まされる。

いろいろ読んできたつもりだけれど、これほど鬼畜劣情な小説は、ない。スプラッター小説なら、クライヴ・バーカー「血の本」シリーズや、綾辻行人「殺人鬼」でおなかいっぱいだよー、と思っていたが、本書はゆうゆうとK点を超えて臓腑に刺さる…

だから、マジメに読むとココロにクるので笑って読むほうが精神衛生上いいのかも。

続きは、[ここ]

獣儀式

■2 骨餓身峠死人葛(野坂昭如)

「これはひどい」と「これはすごい」の両方の賛辞を贈る。さらに、これ読んで女陰を直視できなくなった。この強迫観念は、既視感覚を伴いながらトラウマ化する

なまぐさい臭いが漂ってくる。文体と描写と(脳にうかぶ)ビジュアル映像が濃密に絡み合っていて、呼吸を忘れて読みふける。血しぶくシーンや、兄妹の近親相姦だけがなまぐさいのではない。男を求めて濡れて白くひかっている女陰の臭いがハッキリと嗅ぎ取れるんだ。そして、黒々とした茂みの中に鼻を近づけると、びっしりと詰まって蠢いている蛆虫が見えてくる寸法だ。

続きは、[ここ]

野坂昭如コレクション

■3 児童性愛者(ヤコブ・ビリング)

ペドフィリアの実態。エログロは無し。残虐シーンも無し。にもかかわらず、読みながら嘔吐するトコもあった。ラストは絶望感でいっぱいに。

「小さな子どもと仲良くなること」を生涯の目標にしている男たちがいる。小さな体を自由にしたい欲望を抱いている。バレると糾弾されることを承知しているが故に、ひた隠しにし、表面上は普通の生活を送っている。男たちは、これは「嗜好」の一つだと考えている…

続きは、[ここ]

児童性愛者

■4 隣の家の少女(ジャック・ケッチャム)

「劇薬小説ランキング」の最初のNo.1はこれだった…

読書が登場人物との体験を共有する行為なら、その「追体験」は原体験レベルまで沁み渡った。地下室のシーンでは読みながら嘔吐した。その一方で激しく勃起していた。

陰惨な現場を目の当たりにしながら、見ること以外何もできない"少年"と、まさにその描写を読みながらも、読むこと以外何もできない"わたし"がシンクロする。見る(読む)ことが暴力で、見る(読む)ことそのものがレイプだと実感できる。この作品を一言で表すなら「読むレイプ」

続きは、[ここ]

隣の家の少女

Sirononakano■5 城の中のイギリス人(マンディアルグ)

「エロスは黒い神なのです」。たとえば、生きのいいタコがうじゃうじゃ蠢く水槽に少女(13歳処女)を投げ込んで、体中に貼り付かせる。タコとスミまみれの彼女(顔にもタコべったり)を犯す→鮮血とスミと白い肌のコントラスト。その後、ブルドックに獣姦。終わったらカニの餌。

食糞飲尿あたりまえ、悪趣味、倒錯、陵辱、苦痛、加虐性欲の極限。大切なものをいちばん残忍なやり方で破壊する、性の饗宴というよりも、むしろ性の狂宴。

続きは、[ここ]

■6 目玉の話(バタイユ)

わたしの脳に、「セックスと排尿」をバインドした作品。

愛し合う男女はセックスの際、尿をかけあうという誤った刷りこみのおかげで、変態あつかいされますた。余談だが、かわいい女の子が顔まっかにしておもらしするエロマンガの最高峰はぢたま某「聖なる行水」。「目玉」に辟易したらどうぞ。

続きは、[ここ]

目玉の話

■7 暗い森の少女(ジョン・ソール)

こわい本とはこういうもの。小説読んでて、久しぶりに「もうヤメテ」体験をした。ラストに説明を求める人は、その禍禍しい終わり方に読後感サイアク気分をたっぷりと味わえるだろう。

グロや残虐シーンはあるけどたかが知れてる(これは1978年の作品だぜ!)。グロや残虐だから怖いのではない。人は「分からない」ものに恐怖する。しかも、生きている人間が一番恐ろしい。「分からない」ものへの説明が無いまま、読者は本能的に理解する、「これに違いない」と。そして、それが正しいことを知りつつ、そうならないことを祈るような気持ちで読み進める、真ッ黒なラストに向かって。

続きは、[ここ]

■8 問題外科(筒井康隆)

そろそろ「筒井がないよ!」というツッコミが来そうなので、ここらでエントリ。

ストレートな劇薬、究極的にエログロバイオレンス、かつ下品。二人の外科医で交わされるブラックトークは黒い笑いを、後半加わる外科部長のスプラッターな性的倒錯っぷりは紅い笑いを誘う。おっぱい揉むのに、乳房を切開して、表皮の下から直接モミモミするところが素敵だッ。洗練された下品さをあじわうべし。

続きは、[ここ]

最後の喫煙者

■9 きみとぼくの壊れた世界(西尾維新)

小説仕立てのギャルゲ、ただし最後は「バッド・エンド」しかない…いいえ、これはいまあなたの頭に浮かんだ「よくある意外な結末」ではない、本当の意味でのBAD END。

均衡がゆらいでいる「壊れた世界」のほうがまだマシ。それでもお話が進むから。このラストは「動かない」ところが着地点。よくある話なら死や狂気をもってくるが、ちがう。どこにも進まないし、何かが流れ出ることもない日常。常に1つしかない選択肢を選び続びとり、世界はそこで完結する。出口なし。

続きは、[ここ]

きみとぼくの壊れた世界

■10 ぼくはお城の王様だ(スーザン・ヒル)

子どもは、どこまででも、残酷になれる。あるいは、イジメ慣れしていないイジメは壮絶な結果になる。

つよい憎しみは口いっぱいに広がる。人を真剣に憎んだとき、自分の感情のあまりにも強烈さに慄くことだろう。キングショーは追い詰められながら「人を憎む」という自身感情に苛まれる。どうすることもできないところへ追い込まれる(追い込む?)プロセスを、複眼的に追いかける。もちろん読み手は、なんにもできない、なぁんにも。

続きは、[ここ]

隣ぼくはお城の王様だ

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劇薬小説傑作選
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 さて、「こんだけぇ?」という声が聞こえるので、以下に選外となった作品を挙げる。どれも「はてな : 劇薬小説を教えてください」で教えていただいた良作ばかり。

獣舎のスキャット(皆川博子) 所収:「悦楽園」

グロは皆無。血糊や臓物の代わりに人の心のグロさを存分に味わえる。収録作の一つ「疫病船」は口の中がムズムズする一方で、人の厭らしさが滲み出るダブルのエグさ。「水底の祭り」の屍蝋のエピソードは、水底をぐるぐる回る白い女体が脳に焼き付いて離れなくなだろう。

続きは、[ここ]

悦楽園

聖女の島(皆川博子)

嫁さんに「後味の悪い読後感の小説って何かある?」と訊いたら返ってきた一冊。さすが俺嫁、読後感はでんぐり返ったイヤな気分。

まず設定がナイス。昔は炭田の採掘基地で、今は廃墟化した孤島が舞台。そこに修道会のつくった矯正施設がある。売春、盗み、恐喝の非行を重ね、幼くして性の悦楽を知った少女たちが集められる。

事故で何人か死んだはずなのに全員いる、少女たちの不気味な儀式、食い違う発言、姉の記憶…イヤな仕掛けがたくさんあり、読み手の疑問と不安がどんどんふくらんでくる。悪夢に引き込まれるように先へ先へと進んでいって、ラスト。こいつはまいった。

闇の子供たち(梁石日)

鬼畜ポイントは3つある。小説なのに妙にリアルで、フィクションなのに憤りを感じる。
  1. 8歳で売られた少女→売春宿→HIV感染→AIDS発症→ゴミ捨場に棄てられる→故郷へ→両親困惑&村八分→監禁&放置プレイ→蟻にたかられる(まだ生きている)→父親がガソリンかけて焼殺
  2. ドイツ夫婦が少年を買いにくる→お目当ての子はホルモン剤の打ちすぎ→全身から血を噴出して死亡→男衒「仕方ない、他の奴をあてがっておけ」→ドイツ夫婦「いやぁ、この子もカワイイね」とお持ち帰り
  3. 日本人母「息子の心臓病のドナーを待ってられない」→ブローカー「4,000万でいかがっすか」→とあるNGO「生きた子から心臓を移植することになるッ」→日本人母「ウチの息子に死ねというのですかッ」


続きは、[ここ]

闇の子供たち

血と骨(梁石日)

セックスとバイオレンスを徹底的に書き尽くしているにも関わらず、テーマは「家族」。血と骨という言葉は、コリアンにとって特別な意味がある。朝鮮の巫女の歌の中に、「血は母より受け継ぎ、骨は父より受け継ぐ」という一節がある。朝鮮の父親は息子に対し、「おまえはわしの骨(クワン)だ」という。それは、血もまた骨によって創られることを前提にしているからだ。土葬された死者の血肉は腐り果てようとも骨だけは残るという意味がこめられている。血は水よりも濃いというが、骨は血より濃いのだ。

続きは、[ここ]

血と骨(上)血と骨(下)


絶望系 閉じられた世界(谷川流)

ハルヒで入った人は、本書で絶望する。「谷川+のいぢ」でハルヒのつもりで読むと地雷なので要注意。ハルヒが壮大なトートロジーなら、本書は絶望というシステムの話。

ラノベ読者は「物語の消費者」。キャラやストーリーを効率よく吸収するためにページをめくる。けど、これ、ラノベか? 表紙や序盤の「不思議ちゃん+萌エロ」を期待して読むと、ラノベというフォーマットを突き破って唐突に残虐化する鬱展開に仰天する。感情移入してると心が痛い痛い。

続きは、[ここ]

閉じられた世界

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない(桜庭一樹)

ラノベ続き。ラノベって「ライトノベル」なんだよなー、と読み始めると強烈なボディブローを叩き込まれるのがある。これはその一つで、ヘヴィノベルやね。

友達がバラバラにされて積まれているのを、女の子が見つけるまでの話。ラストでどうなるかは最初のページに書いてある。理不尽なセカイに無力なワタシ。オトナになるためには、子どもを生きのびなければならない。

着地点が分かっていて、そこへの過程を綿密にたどるかと思いきや、そうではない。なぜそんなことになってしまったのかは説明されていない。「百合小説の傑作」という誰かの誉め言葉と表紙の萌え絵に吸い寄せられたのが運の尽き。予備知識ゼロで読むと酷いショックを受けるかもしれない。

続きは、[ここ]

砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない

蝿の王(ゴールディング)

「もう一つの十五少年漂流記」との評で読むと撃たれる。少年達が島に漂着するところ、自活を余儀なくされるところまでは一緒だが、そこから先は、「さもありなん」という本能が支配する展開。ニンゲンなんて、ララ~ラ、ラララ、ラ~ラ~ってやつ。極限状態の中での秩序と破壊の話。壊れプロセスが読みどころ。

蝿の王

Roufirudo
ロウフィールド館の惨劇(ルース・レンデル)

この小説ほどネタバレを心配せずに紹介できる。なぜなら、冒頭で全てを明かしているから。最初の2ページで殺人の動機、殺害方法、犠牲者、共犯者を記している。一行目は、こうだ。

   ユーニス・パーチマンがカヴァディル一家を殺したのは、
   読み書きが出来なかったためである。

じゃぁ、なぜ「読み書きが出来なかった」から、一家皆殺しにしたのか、というのがこの話なんだ。納得できる異常性に肝っ玉を震え上がらせながら読むべし。

続きは、[ここ]

ずっとお城で暮らしてる(シャーリイ・ジャクソン)

少女のふるまいって、奇矯な一端もあるので、そのコが本当に狂っているのか正気なのか分からなくなる。狂っているほうがよかったのかも? と思えるが、正気/狂気は読み人次第ってぇやつ。

由緒ある屋敷で暮らす姉妹の話。叔父さんやいとこも出てくるが、中心は美少女姉妹。姉ちゃんはハタチ超えているから少女というにはアレかもしれないが、2年前の惨劇の後、引きこもりになってしまったので、深窓の美女として脳内補完しよう。

続きは、[ここ]

ずっとお城で暮らしてる

くじ(シャーリー・ジャクスン)

遅効性のヤな感じを味わえる

読了(=着火)してからどこを向いてもこの構図に見えてくる。ポイントは「自分で選んだ」こと。選んだ結果がいかなるものであれ、選んだことには変わりはない。選ぶ方法や前提に文句を言っても、すでに「選んだ」事実は動かせない。ラストの一行は分かっていたが、その直前の叫びが他人事じゃない。

続きは、[ここ]

自由自殺法(戸梶 圭太)

プロット一発勝負なら大傑作。ただし、書いてる途中に行き倒れてしまっているもったいない作品。名は体、「国家が自殺ほう助する世界」の話。リアルな日本が描かれている。ネットよくあるセリフ「死ねば?」を執拗に拡大解釈し、「使えない国民を自殺まで誘導する」国家プロジェクトまで昇華させている。そのクセ内情は一切明かさない。ここまでは三重マル。

続きは、[ここ]

自由自殺法

閉鎖病棟(パトリック・マグラア)

この小説をどういう風に読むのが効果的か考え込んでしまう。「歪んだ純愛の形」も「狂気に燃える情炎」もマチガイではないのだが、話者の狂気まで想像が閃いてしまうのは気のせい? 裏読みすぎ?

続きは、[ここ]

閉鎖病棟

完璧な犠牲者(クリスティーン・マクガイア)

ハタチの娘が拉致され、調教され、肉奴隷となった7年間の話。これが「小説」ではなくノンフィクションであるところがスゴい。誘拐した男が自作した箱に「監禁」される。

「もう誰とも干渉したりされたりしたくない」とダンボール箱を被る「箱男」(安部公房)は、さしずめポータブルな引きこもりだろうが、こっちの「箱」は、洗脳のための道具。外界の情報を徹底的に遮断することで容易に精神を壊すことができる。

…「壊れている」のかどうか、分からないんだが…

続きは、[ここ]

完璧な犠牲者

盤上の敵(北村薫)

薬は毒であり、毒は薬にもなる。両者の違いは"量"だけ。

優れた(≠良い)小説は読む人に強い力を与える。それがポジティブなら問題ないが、ネガティブにドライブされるときが恐ろしい。ほとんどの人はネガティブな小説なんて無いと思っていて、ほとんどの人は劇薬小説なんて知らずに生きていく。ときに深淵を覗き込むために劇薬を「少量」手にするのもよいが、読みすぎ注意。

我が家に猟銃を持った殺人犯が立てこもり、妻・友貴子が人質にされた。警察とワイドショーのカメラに包囲され、「公然の密室」と化したマイホーム!末永純一は妻を無事に救出するため、警察を出し抜き犯人と交渉を始める。はたして純一は犯人に王手(チェックメイト)をかけることができるのか?

この入口で「あっと驚くファイナルストライク」を目指す。「まえがき」あたりで叙述系であることは判明するが、劇薬なトコはソコではないことに留意して。

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盤上の敵

妖魔の森の家(ディスクスン・カー)

密室消失トリックとしては陳腐かもしれないが、それはこれをパクった小説のせい。伏線の秀逸さ、設定の巧妙さ、展開の旨さ、全てこれらは、読み終えてから気づく。ああ、そういうことだったのね、と。大きなナゾの傍らにある小さなトリックは気づかれにくい。犯人は、「意外な」人物でなければならない。ナゾは、全てが終わった後に明かされなければならない。

妖魔の森の家

そして読者は、最後の一行で戦慄しなければならない

続きは、[ここ]

溝鼠(新堂冬樹)

ずばり変態小説。「ヘンタイがでてきて読後感サイアク」との触れ込みで読んだが、勧めてくれた方は団鬼六を読んでないな。「溝鼠」をヘンタイというならば「花と蛇」をどうぞ。ヘンタイ萌えできますぞ。グロを抜いたらフランス書院にすら負ける。ただし、「そういうの」を身構えずに読んだ方はかわいそうかも。肛虐や飲尿が普通にあるし。

続きは、[ここ]

溝鼠

アクアリウムの夜(稲生平太郎)

暗黒青春小説。読みながら幾度も「それなんてエロゲ?」という質問を独りごつ。しかし、(当然のことながら)濡れ場がないので期待して読んで壁投げしないように。

文体がイヤらしい。まとい付くような書き方で、描写文が沢山あるにもかかわらず、実感がわかない。例えば、「激痛が走った」とあっても、まるで現実感がない。著者はどう痛いのかを想像して書くよりも、キャラを痛めつけるシーンだからそう書いているだけ。そうした意味でもテキスト系アドベンチャーゲームを彷彿とさせられる。

続きは、[ここ]

アクアリウムの夜

殺戮の野獣館(リチャード・レイモン)

エログロおゲレツ満載の小説。

まずハードコア。強姦、獣姦、近親相姦。死姦、幼姦、阿鼻叫喚。嫐(女男女)も嬲(男女男)もある。まんぐり、八艘渡、緊縄、ロリペドなんでもござれ。ハードSM、食糞や飲尿まであれば百花繚乱だが、さすがにそこまではいかんかった。

スプラッタも負けてない。一撃で顔の半分がエグりとられたり、食い散らかされ脊髄と下半身しか残っていなかったり、血まみれの親の前で娘(10歳ぐらい?)を○○したり、交合中に首チョンパだったり。ナイフ、銃、斧、チョーキング…と殺人手段もなんでもござれ(爆殺と薬殺がなかった)。

じゃぁただのエログロバイオレンスかというとそうでもない。めちゃめちゃなストーリーだがこれがオモシロー。目を閉じアクセル踏みっぱなしの一本道だとアタリをつけていると、ラストでとんでもないオチが待っている。

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我らが影の声(ジョナサン・キャロル)

常態から異常事態へ。このお話を「狂気」の一言で片付けられたらどんなに嬉しいことか。しかし、どこも狂ってないのがおそろしい。だいたいヒトを「正気」と「狂気」の2色で塗り分けようとすること自体がおかしい。正気の中にも狂気を宿し、狂っていても一貫性を見出そうとするのが、ヒトだ。

これは、その変移を味わう小説。「狂う」ということはどういうことかを、一冊かかって知ることができるカモ。

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D-ブリッジ・テープ(沙藤一樹)

【ネコ好き厳禁】子猫を素手で解体する場面が出てくる。扼殺した後、両手で裂くようにバラしているが、子どもの力ではムリ。さらに血抜きもせずに一晩放っておいて、翌日食べている。凝結した血がカチンカチンになって齧りとれなくなるのに。【ネコ好き厳禁】

続きは、[ここ]

D-ブリッジ・テープ

夏の滴(桐生祐狩)

びっくりするほどインモラルッ
びっくりするほどインモラルッ

少年のひと夏の冒険譚なのかと思いきや、予想外どころか場外を越えてトンでもないところまで連れて行かれる。妙にリアルな「いじめ」とその結末が恐ろしい…メインストリームよりも、ね。

夏の滴

地下室の手記(ドストエフスキー)

怨念にまで発展する執拗な自意識へのこだわりは、あっぱれかも。自意識が「過剰」を超えるとどうなるか、この実験は面白い。「地下室」とは自意識のメタファーなんだなー、こんな奴いた(いる)よなー、ネットに多いよなー、と呟きながら読む。

――で、笑いながら読み終わって、気づくんだ。なんてこった!こんなところに俺ガイル。

自意識の重さに悩んだことは、誰でもあるだろう(特に思春期)。屈託なく振舞う友人を羨んだり、根に持つ自分を恥じたかもしれない。そんなヒリヒリ感覚を思い出す一冊。

続きは、[ここ]

地下室の手記

忌中(車谷長吉)

タイトルからして不吉。書影も陰陰と拒絶オーラを発散している、という第一印象を裏切らない。劇薬小説として紹介されて読んだが、こいつは「厭本」ですな。つまり、読んでイヤ~な気にさせる短編集。新聞の三面記事に並ぶ変死、横死、一家心中、夫婦心中が「結」ならば、そいつを起承転結と読まされている感じ。それが、本書。

続きは、[ここ]

忌中

WELL(木原音瀬)

そうした思惑を粉砕してくれるのがこれ。突然世界が崩壊して、生き残ったのは男だけ(女は全滅、原因不明)。ウホッ、男だらけのジ・エンド・オブ・ザ・ワールドというやつ。「世界が終わる」はネタに困ったときの常套手法かもしれんが、だからといって女を殺すな、女を!(←この時点で、潜在読者の半分を作者自ら抹消している)。

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WELL

夏の葬列(山川方夫)

例えば、国語の教科書にある「夏の葬列」(山川方夫)。「戦争の悲惨さ」を伝えるため教科書に採録されたらしいが、激しく勘違いしてる。これは"ミステリ"として読まないと危険。これをノーガードで読んでしまい、強烈なラストで琴線が焼き切れてしまった中学生は少なくないだろう。

続きは、[ここ]

夏の葬列

電話がなっている(川島誠)

中学んときに読んだらトラウマ本になってたかも。罪深いのは、この作品の紹介→「だれかを好きになった日に読む本」(小学中級から)であること。初恋の回想で始まるこの作品、たしかに恋愛譚かもしれないが、そのつもりで読んだら酷い目に遭う。紹介者は"大人"なんだろうがデリカシーなさすぎ…というか悪意すら感じられる。小中学生は"当事者"だろうがッ。

続きは、[ここ]

電話がなっている

────あとは一口感想でご勘弁。

■ ZOO(乙一)

「セブン・ルーム」が劇薬と訊いたが…うーん、ふつうの短編やね。乙一がスキ!な方は面白い本が沢山あって幸せですねっ ← 乙一ファンにかなり失礼なことを書いてしまいました、ごめんなさい。

■ ソドム百二十日(サド)

全編これでもかとエログロ糞尿譚のオンパレード。牛丼好きだけど、三食毎日だとさすがに飽きるよ。

■ よけいなものが(井上雅彦)

これは絶品。非常に短く、キレ味するどい。

■ 瓶詰の地獄(夢野久作)

夢野といえば「ドグラ・マグラ」を劇薬扱いしたくなるが、いかんせんあれは○○○イの世界。ラストの手紙をどう読むかで戦慄できる。初読のときは、(作者の意図どおり)1回目の手紙だと読んだが、あれを「最後の手紙」と故意に誤読すると、もっと恐ろしい妄想が広がるひろがる…

■ ドグラ・マグラ(夢野久作)

推理小説の形を取っている、悪夢のような作品。けどこれを面白く読んでしまったわたしは既に狂っているのかも。

■ 屍鬼(小野不由美)

帯のコピー「完全無欠、逃げ場無し」に偽りのない、恐ろしい小説なり。この小説の底本であるS.キング「呪われた町」よりも面白し。読後感は「怖かった!面白かった!ボリュームありすぎで人に勧められねぇ」。

■ 変身(カフカ)

有名どころだけど、これを推すなら「芋虫」(乱歩)読んだ? と訊きたくなる。

■ 芋虫(江戸川乱歩)

エロとグロの融合がいいですな。特に夫の○を○○すシーンなんて醜怪淫靡にえらく興奮したもの。

■ 家畜人ヤプー(沼正三)

日本国辱もののSM小説、というかSFなのか? 日本人をトコトン貶めているから話題になったのか、その内容のぶっ飛び加減に当時の読者がのけぞったのかは分からないが、奇書中の奇書と呼ばれる。

■ 白夜行(東野圭吾)

即効性は低いかもしれませんが、読後のヘビー感がだらだらと長引く(凹む)作品だと思います。叙事詩という形態と、緻密な伏線が生み出す最悪な読後感です──との評だが、確かにそうかも。ミステリとして夢中になって読んだあと、エア・ポケットに落ち込んだような喪失感に浸れる。

■ 黒い家(貴志祐介)

欲望をストレートに行動にうつす「彼女」をある意味うらやましく思ったり。映画も秀逸で、大竹しのぶの台詞「乳しゃぶれ?」は絶品っす。「黒い家」にハマるのなら、ジャック・ケッチャムやジム・トンプスンをオススメ。

■ 不思議な少年(マーク・トウェイン)

「トム・ソーヤー」でしかトウェインを読んだことがない人は、幸せかも。少年(たぶん中身は○○)の素朴な疑問と行動には絶句するはず。

■ インスマウスの影(ラヴクラフト)

これは、怖い。お話のデキが非常にいい+怖い+「あれ」が生理的にイヤ、と3連発。怖い話の基本はラヴクラフトだと真顔で言える。

■ 1984(ジョージ・オーウェル)

オーウェルは「1984」「動物農場」「カタロニア讃歌」を読みました。「1984」は映画も良い。全体主義なら、同時期に公開された「未来世紀ブラジル」と比較してみると面白いかも(「1984」が陰で「ブラジル」が陽)。ラストはどちらも鬱になることを請合う。小説「1984」を最悪というならば、ハックスリー「すばらしい新世界」なんぞはいかが?

「1984」の救いのないラストの代わりに、今、この国に起こっていることと酷似していることに気がついてガクゼンとして、いやああぁぁぁぁって思うかもしれませんな。

■ 慟哭(貫井徳郎)

「慟哭」はダメ。いかに読ませる筆力があり、心理描写も的確で、展開もツボをおさえていても、「 絶 対 に や っ て は い け な い こ と 」を堂々とメインに持っていった時点で、彼の作品は一切読まない(いや、面白かったんだけどね)。読者を裏切るような作家は、いずれ、読者が裏切るようになるから。あ、でも読後感サイアクは合ってるね。

■ セメント樽の中の手紙(葉山嘉樹)

プロレタリア文学の劇薬小説。一呼吸で読める短さが、そのまま肺腑をえぐる衝撃と化す。DS文学全集で読んだ。

■ 殺戮にいたる病(我孫子武丸)

猟奇シーンが売り物だが、ラストで本当に驚かされた。「かまいたち」で入った人は例外なくビビる or/and 最初から読み始めるだろう。

■ 奴婢訓(スウィフト)

サブタイトルは”アイルランドの貧家の子女たちが両親及び国の負担となることを防ぎ、国家社会的に有用ならしめんとする方法についての私案”。当時、アイルランドで起こっていた食料不足、貧困、人口過剰を一挙に解決する提案が詳細に書かれてる。
これが元祖かもしれないけれど、その亜流・コピーをさんざん読んできたので、笑いどころを探しながら読んでしまった。このオチが始めての人には、衝撃的な劇薬となるだろう。

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参考
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 「劇薬小説」として話題になった奴は、だいたい網羅したつもりだが、まだまだ沢山あるだろう。「これは!」というのがあれば、いつでもオススメしてほしい。
  • リミッター解除の劇薬本ランキング+レビュ → [参照]
  • 以前の劇薬小説ランキング+レビュ → [参照]
  • はてな:劇薬小説を教えてください → [参照]
  • 劇薬マンガレビュー → [参照]
  • 劇薬マンガレビュー第2弾 → [参照]
 リミッター解除版は、完全に解除されているので、気をつけて。

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2作品

伊藤計劃や、野崎まどの一連の作品はいかがでしょう。
特に野崎まどの最新作「know」は読後しばらく放心させられました。

また漫画も挙げて良いのであれば、加藤伸吉×杉元伶一「国民クイズ」が
悪いクスリのような悪酔い感を与えてくれて良いとおもいます。

No title

>>TAGさん

オススメありがとうございます。
伊藤計劃『虐殺器官』、野崎まど『2』を読みましたが、劇薬としてのキツさよりも、プロットや設定の技巧が素晴らしいと感じました。『国民クイズ』は連載で読んだのですが、途中で中断(打ち切り?)されたような……ので、最後がどうなったのか知らないのです。ハックスリー『すばらしい新世界』のような、すばらしいディストピアだと思います。

劇薬小説の末席に

はじめまして。本館から辿り着きました。
デイヴィッド・ストーリー「救われざる者たち」はほぼ普通の面白くて良質な小説ですが、読まなければよかったと思いました。そういう場合いつもなら途中で読むのをやめるのですが、コレは最後まで読まされました。

No title

>>neil さん

ご紹介ありがとうございます。「最後まで読まされる、“読まなきゃよかった”と後悔する小説」にはソソられますね。まずは手に取ってみます(楽しみ楽しみ)。

No title

はじめまして。最近読書でアタリがないなあと検索していたら劇薬本のページにたどり着いて、マンディアルグとかコンラッドなど、私が愛読しているのが劇薬指定されていて、何だかびっくりしたというか、でも嬉しかったです。
ここ最近読んだ中では「ドクターラット」の読後感が最悪でした。
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スゴ本より成人向のキッツいのを。
いいのがあったらご教授を。

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