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背徳の愉しみと目の悦びの5冊『澁澤龍彦 : ホラー・ドラコニア少女小説』

 5冊イッキ読み、一気レビュー。

■1 「ジェローム神父」 マルキ・ド・サド×澁澤龍彦×会田誠

ジェローム神父 まず「ジェローム神父」。澁澤龍彦=マルキ・ド・サドと、幻想画家・会田誠の恐ろしいコラボレーション。ふつうの人は避けたい挿絵とストーリー。

 たとえば表紙。ポニーテールの少女(全裸)が、アッケラカンとした笑顔で見上げている。ただし両手足は切断されており、ぐるぐる包帯からにじむ血肉が生々しい。あるいは挿絵。少女の腹を指で押すと、割れ目からイクラがぽろぽろと出てくる「とれたてイクラ丼」は目を見張る。

 もちろんサド・テイストも凄まじい。冒頭、恋人どうしの若い男女を人気のないところへ連れ出し、まず男を射殺。そして女を姦するのだが、ただじゃすまないのがサド節。小枝やトゲのある蔓で女の柔らかい場所を刺したり痛めつける。男の死体を切り裂いて、そこから心臓を抜き取り、娘の顔を汚す。あまつさえ心臓の幾片かを無理やり娘の口のなかに押し込んで、噛んでみろと命令する…

おれは手に短刀を握っていたが、いよいよ完頂の瞬間までは彼女を殺すまい、と思っていた。おれの完頂の神聖な溢出と、おれの相手の女の断末魔の吐息とが混ざり合うことを思うと、ぞくぞくするような愉悦を覚えずにはいられなかった。

彼女がこの世のもっとも残酷な瞬間を経験するであろうとき、おれはこの世のもっとも甘美な瞬間を味わうのだ、と考えた。


 で、胸といわず下腹部といわずメッタ刺しにするわけだ、自分がイク瞬間に。悶死する肉体の収縮が、えもいわれぬ恍惚感をひきおこすそうな。

 可憐な少女をたぶらかし、文字通り「獲物」として扱うジェローム神父。中2の脳内自己中ではなく、徹底的に考え抜き、むごたらしい実体を伴う。彼が、「おれが地球上の全人類を、もっぱらおれの快楽に奉仕すべき存在としてしか認めていないことは申すまでもあるまい」と言い切るとき、戦慄するよりも感心するばかり。

■2 「菊燈台」 澁澤龍彦×山口晃

菊燈台 次は「菊燈台」。記憶を無くし、奴隷となった美少年と、それを飼う少女との倒錯した性の話… なんだが、「つかみ」である右腕を失った使用人の話のほうが興味深い。主人の娘のあそこが見たくて、厠にもぐって暖かいオシッコを浴びながら凝視する毎日。しかし、どうしても触りたくて手を上げてしまう。娘は驚いて腕をひっぱると、不思議なことに根元からすっぽりと抜ける。

 このエッチで怖くてこっけいなシーンは、山口晃の浮世絵のようなタッチで再現されている。京に都があった頃の話なのに、烏帽子や被衣が描かれているのに、背景が原子力発電所だったり、抜けた腕の跡がどう見てもターミネーターだったりする奇妙な挿絵がオモシロイ。

 目のつけどころは表紙。主人公(?)の美少年のはずなのだが、なぜかりっぱなおっぱいがついている。両性具有でもないのに、飼い主の娘? … と考えると、挿絵の書き手がこの物語をどう読んだかがうかがい知れて、非常にオモシロイ(ヒント↓)。

からみ合った四本の脚が見えた。いや、四本かと思えば二本、そしてまた急に四本にもどったりして、男女の姿態は絶えまなく変化しているようであった


 あとがきの「少女コレクション序説」がやヴぁい。後で否定しているものの、主張していることはまさに「少女の剥製をつくろう」に他ならないから。ファウルズよりも、乱歩か、フィギュアが近しいね。

■3 「淫蕩学校」 マルキ・ド・サド×澁澤龍彦×町田久美

淫蕩学校 「ソドム百二十日」からの抄録。地獄の百二十日が始まる直前までの悪意に満ちた準備の様子が描かれている。生贄となる美少年美少女を拉致→念入りに選別し、調教師となる醜悪ババアを集める。その選抜プロセスが工業製品の検査を見ているようで可笑しい。そう、贄たちは人ではなく文字通りモノとして扱われているからね。

 でもって一行はスイス山奥の深い森にたたずむ城館に立てこもる。城は堅牢な外壁で囲まれ、深い堀で隔絶されている。唯一の通路である橋は切って落とされ、城内の内側から全ての城門が塗りつぶされる。この城塞はサド自身の頭蓋のメタファーだと述べられているが、言いえて妙。

 そして宴が始まる―― ってところで終わり。ええーっとガッカリするかも。続きは「ソドム百二十日」なんだけど、全読していない。いや、かなりエゲツない話が徹底的に語られるのはいいんだが、飽きてしまったのがホントのところ。どんな非道な悪事でも「飽きる」ことができるわたしが怖い。も一度手にしてみるか…

 挿絵は町田久美。気のふれた人形を眺めているような気分になる。意図的(?)なのか男根や陰核を上下逆さまにつけている人形(ひとがた)が怖い、ツッコミを待ちかまえているようで不気味。

■4 「狐媚記」 澁澤龍彦×鴻池朋子

狐媚記 お次は「狐媚記」。武家の妻が月満ちて狐の子を産みおとすところからお話は始まる。妻は身に覚えがないのだが、剛直な夫が責める責める。実はこれ、狐玉(要するに賢者の石)を手に入れた夫の姦計なのだが… ありがちな人狐の物語に生々しいキャラが載っていて新鮮。

 ただ、鴻池朋子の挿絵が場違いのような。[Knifer life]はどう見てもオオカミです、ありがとうございました。これはこれでスゴいのだけど、流転するナイフと狼と少女(脚部)のイメージと、人狐の交わりのお話がどうしても噛みあわない。膨大な流水のようなナイフ群に魅入られた後、本文にハッと引き戻されるように読んだ。

■5 「獏園」 澁澤龍彦×山口晃

獏園 ダ・カーポでNo.1徹夜本と賞された「高丘親王航海記」より一編。夢を食べる獣バクの話。史実と幻想を織り交ぜるサブリミナルな書き口と、精緻でエロティックな挿絵が似合っている。

 2巻「菊燈台」と同様、中世と現代の風俗が「違和感なく」交じり合っており、さしずめ絵画の換骨奪胎といったところか。高丘親王が大学教授のように扮しており、天竺への旅がゼミ旅行のように描かれている。

 見どころはラスト、皆が見守る中、王の娘がバクの一物をさすりあげ、口に含んだりして精を放たせるところ。物語では高丘親王のシンクロニシティに焦点があたっているが、挿絵はバクと少女の性戯を様々なタッチで何枚も描かれている(最後のエロマンガ風味のが好みっス)。

 元となっている「高丘親王航海記」は、天竺を目指しながら過去へ過去へと回顧するループバックと、1000年以上も前の話なのに、いきなり現代の視点で語られるアナクロニズムが読みどころ。

■結論 : エロスって幻想的で具体的だな。イチバンはやっぱり「ジェローム神父」、まっとうな狂気に出会える。

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