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こわす読書「ソドムの百二十日」【閲覧注意】

ソドムの百二十日 この世が始まって以来、最も淫らで穢らわしい物語。

 乱読と、うそぶくわりに同ジャンル。気づいたら、似たよな本を読んでいる、狭く小さい殻の中。カニは甲羅に似せて穴を掘る。取捨選択でなく、自分の周囲に壁を築く読書。趣味なんだから引きこもるのは構わないが、その井戸で世界の中心を叫ぶ愚かしさ。狭窄に気づかない書評からドヤ顔が滲む―――これ全て、わたしのこと。

 なので、自分を壊す本を選ぶ。殻を砕き、やわらかいエゴを引っ張り出し、押し広げる、自己を拡張する読書。フランツ・カフカは言う、「頭ガツンと殴られるような本じゃなきゃ、読む価値がない」。意図的に手にする劇薬本が、わたしの心を抉りだす。

 「読まなきゃよかった」「読んだという記憶を消し去りたい」───そんな本を劇薬本と呼ぶ(劇薬小説、トラウマンガも然り)。期待外れの壁投げ本(くだらなくて壁に投げるような本)ではない、読んだら気分が悪くなるやつ。ベストは、「読書は毒書」と、「トラウマンガ」にまとめた。

 なかでもキツいのは、次の3つ。誘拐した少女の全身の穴という穴を縫い合わせる───ただし口とヴァギナを除いて。『おまえはその二つの穴だけで世界とつながるんだ、その穴だけでわたしを感じるんだ』(ラヴレターフロム彼方)。子宮を裂いて胎児を取り出し、代わりにぬいぐるみを押しこむ陵辱破壊(真・現代猟奇伝)、家族丸ごと監禁し、家族同士で殺し合いをさせ、家族中で死体処理させるノンフィクション(消された一家)を読むと、最高に胸クソ悪い満腹感を味わえる。自分の中に、こうまでドス黒い感情が溜まっていたのかと思うと、心が折れるというより溶ける。正直、この3つを超えるやつはもうないと信じてた。

 しかし、間違ってた、上には上がいる。しかも、かなり上で、マルキ・ド・サド「ソドムの百二十日」だ。上3つを含み、もっと狂ってる。一言なら、「読む拷問」。男色、獣姦、近親相姦。老人・屍体に、スカトロジー。読み手にとてつもない精神的ダメージを与え、まともに向かったら、立てなくなる強烈な兇刃に膾にされる。イメージを浮かべながら読むと、想像力が絶叫する読書になる。三柴ゆよしさん、オススメありがとうございます。間違いなく劇薬No.1ですな。

 鼻水吸引や髪コキ、愛液フォンデュ、ミルク浣腸は序の口で、真っ赤に焼けた鉄串を尿道に差したり、水銀浣腸で腸内をごろごろする感触を楽しむ。抜歯や折骨を趣味とする男の話や、女の耳や唇を切断したり、手足の爪をムリヤリ剥がす話が喜喜として語られ、実践される。眼球を抉ったり、乳首や睾丸を切断したり、嗜虐趣味極めすぎ。

 そして、妙に「尻」にこだわる。裸体描写の大部分は、尻に集中する。少女の腰から尻にかけての絶妙なカーブと淡い肌合いを、愛でるが如く描く。お尻スキーのわたしとしては仲間意識がソソられるが、わたしの妄想力のはるか上方を飛翔する。サドは、生娘のお尻を緻密に描写するいっぽう、老人の垂れ下がった尻についた黄褐色と臭気も、これまた熱狂的に綿密に記す。

 なぜ「尻」なのかという動機が、わたしと根本で異なる。わたしにとって、お尻とは人体うちで最も美しい丸みであり、秘所を護り隠す桃なのだ。二次元であれ三次元であれ、女のお尻を眺めるとき、わたしはシアワセでいっぱいになる。女のお尻は、太陽のように美しく、満月のように完璧だ。

 だが、彼らにとってお尻は、冒涜のための道具であり嗜虐の的にすぎない。女のお尻に口をつけ、出てくるそばから飲み込むプレイを延々読んでると、お尻そのものより、尻が為すもの(尻で為すもの)が好きなんだね、と思えてくる。真っ白な美しさが語られた後、真っ赤になるまで鞭打たれたり、出てきた糞で塗りたくられたりする、お尻は聖なる穢なる場所なのだ。とある悪漢がこう言い放つが、サドの本音だろう。
「おっぱいなんか取ってしまえ、女という奴は図々しくおっぱいを見せたがる癖があるんだな。俺はおまえのおっぱいもおまんこも欲しくないんだ。必要なのはお前のお尻だけなんだ」
 そう、彼らはこだわるくせに、お尻が好きではない。なぜなら女性の尻に大砲をぶち込んだり、尻穴に火薬を詰めて火をつけて木っ端みじんにしたり、膣と肛門の隔壁を断ち切って手を差し込んで腸をかき回して玉門からうんこを出させたり。こわす対象としてのお尻なのだ。

 そういう意味では、彼らにとって他者とは、壊す対象になる。犯しながらノコギリでゆっくり首を切断したり、恋人同士を拉致して、彼女の乳房や尻を切除して調理して彼氏に食べさせたり。母に息子を殺させたり、塔の上から子どもを突き落とす『遊び』や、むりやり膣に押し込んだハツカネズミや蛇が娘の内臓を食い破る様を眺めるなど、よくぞ想像力が保つなぁと感心する(同時に、ちゃんと読んでる自分がたまらなく嫌らしい)。

 圧死、焼死、爆死、轢死、縊死、壊死、煙死、横死、怪死、餓死、狂死、刑死、惨死、自死、焼死、情死、水死、衰死、即死、致死、墜死、溺死、凍死、毒死、爆死、斃死、変死、悶死、夭死、轢死、老死、転落死、激突死、ショック死、窒息死、失血死、安楽死、中毒死、そして傷害致死―――ここにはあらゆる「死」の形が描かれている。「死」は一つなのに、至る道はさまざまやね。

 本書は、性倒錯現象の集大成ともいえる。自己愛、同性愛、小児愛、老人愛、近親相姦、獣姦、屍体愛、服装倒錯、性転換といった現象を、露出症、窃視症、サディズム、マゾヒズム、フェティシズムといった性手段で果たそうとする。では、完全なる狂気から成っているかと思うと、そうではない。極端は異常性欲を、極めて冷静沈着に書いているから。

 たとえば、キツいなかでもよりシビアな場面に差し掛かると、「心と頭の整理をしておいて頂きたい」と警告する。また、伏線を示して読者に期待を持たせたり、えげつない記述はあとでまとめるなど、思わせぶりな「読ませる」テクも優れている。

 そう、性倒錯や異常性欲といっても、そのうち飽きる。ダレさせない"工夫"も随所に光っている。最も上手いのが、「語り部」を設けたこと。この物語は、4人の語り女によるメタ構成となっている。まず、百戦錬磨の売春婦に、異常な"客"について語ってもらう。次に、それを聞いて興奮した異常性欲者たちが"現実"で再現する―――このくり返しにより、猟奇が重なり、異常が累乗される。病的な身の上話に反応して、もっと屈折した行為を求めるようになる。欲望にはキリがないことは分かっているが、どこまでキリがないか確認したくなる(必ず想像を上回るから)。

 笑っちまうほど歪んだ欲望もある。牝馬の革で、馬の形のカゴを作らせ、そこに犬を抱いて入る。次に、カゴから尻穴だけ出して、牝馬の愛液を塗ってもらう。用意しておいた牡馬がカゴに馬乗りになり、裏門を犯られつつ、男は抱いた犬を犯すという、珍妙な"プレイ"に、息も絶え絶えになった。裸にした娘の初物を奪う代わりに、鳥肉(ホール)を太ももに挟ませ、鳥肉を犯すといった父の"プレイ"は、いじましさと可笑しさに悶えまくった。

 このように、読者を「もてなす」技術や、読む欲望を飽きさせないような仕掛けは、狂気のなせる業ではない。狂っているというより、別の次元を感じる。わたしの世界にとっては「欲望」と名付けられる衝動に、極めて忠実なのだ。

 渋澤龍彦「サド公爵の一生」によると、彼はバスティーユの監獄の中でこれを書いた。ろうそくの薄暗い光を頼りに、幅12センチの紙片を丹念に貼り合わせて作った、長さ12メートルに及ぶ巻紙の両面に、不自由な眼で、蟻のような細かな文字をびっしり書き込んだのだ。メモやノートの類はなかったという。そのため、登場人物の齟齬や時系列的な矛盾がところどころある。だが、たった37日間で一気呵成したこの情熱は、狂気と正気を使い分けたもの。下半身を熱くさせる反面、手と頭はクールでないと書けぬ。

 想像力が凶器となる読書。目を疑え、そして自分を壊せ。

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